【てつびんの学校・後編】鉄瓶を長持ちさせる唯一の方法とは

南部鉄器って高級で手入れが大変そう。。。。

後編では、そんな不安を吹き飛ばしてくれる話をお届けします。

(前編はこちら

 

2月9日(土)、東京都千代田区の3×3Lab Futureで開かれた

盛岡市の鉄瓶屋「kanakeno」(カナケノ、田山 貴紘代表)が手がける

“てつびんの学校”の首都圏版。

校長を務める田山代表(以下、田山校長)が、南部鉄器の工程に続いて説明してくれたのは鉄瓶の扱い方でした。

 

一つ一つが職人による手作りであるがゆえに、決して安い買い物ではない南部鉄器。

 

だからこそ、一度手にしたら大切に、長く使っていきたいですよね。

 

実はその秘訣はたった一つだったんです。

 

「中をしっかり乾かし、サビを防ぐこと」

 

田山校長は続けます。

鉄瓶を優しく見つめる田山校長(左)

 

「鉄瓶の大敵であるサビは、使用後、中に水を残したまま置いておくことが発生の原因で、しっかりと水滴を取り除くことが大切です。
鉄瓶は使用した直後、熱を帯びているので、中の水を捨てておけば、余熱で自動的に乾きます。仮に鉄瓶が熱を失っても、水を捨てて、10秒ほど空焚きをすれば大丈夫」

中の水を捨て、熱で水分を飛ばす。

 

たった、それだけ。

 

簡単ですね。

 

しかも驚くべきことに南部鉄器は

 

「全く洗う必要がない」

 

実は、鉄瓶の内側は

 

薄グレー色の酸化鉄の膜が施されていて、

 

これによって、中がサビにくくなっているよう。

鉄器の内側にはサビ止めが施されている

 

だから、これをゴシゴシと洗ってしまうと、

 

サビ止めが取れてしまうんですって。

 

洗わなくて済むなんて、楽チンですね。

 

鉄瓶は使用していくと赤みを帯びることが多いようですが

 

「それは湯垢で、むしろ正しい状態」とのこと。

 

少し湯垢がついている方が、

 

新品の鉄瓶よりもサビづらく、"使い勝手の良い鉄瓶”と言います。

湯垢がついた良い状態の鉄瓶

 

それを踏まえて

 

田山校長と高橋和氣用務員は口を揃えて言います。

 

「鉄瓶は育てていくもの」

 

特に、高橋用務員は、自身の鉄瓶を長時間空焚きした結果、

 

変色してしまった経験があるといい

 

「逆にこの痕が、自分の鉄瓶の特徴で可愛かったりする」

 

と、ほほ笑みます。

高橋用務員が"育てた"鉄瓶(右)

 

育てる鉄瓶

何だか素敵ですね。

 

もし、少しサビてしまった場合には、

 

煎茶を入れて弱火で沸騰させれば、取れるといいます。

 

それでも、沸かしたお湯が金属の味、サビの味がする場合には

 

購入した工房で、状況に合わせたお直しが可能。

 

南部鉄器の手入れって、思ってた以上に手軽ですね。

 

では、次にどんな鉄器を選べば良いか。

 

「今はIHで使える鉄瓶もある。好きなデザインで生活にあった鉄瓶を選んでほしい」

 

と田山校長。

 

鉄器には横長のものや、縦長のもの。

縦長でがっしりとした鉄瓶

 

ゴツゴツしたものや、滑らかなものとたくさんの種類がありますが、

 

 

一般的には横に広い鉄瓶が、お湯を注ぎやすく使いやすいようです。

 

あとは好みのデザイン。

 

例えば、力強い見え方をする、鬼あられ。

 

ランダムな模様がついた、ミゾレあられ。

 

果物のゆずの表面のような、ゆずはだ。

 

表面だけでなく、つまみが松ぼっくりを表現していたり、

つまみが梅の形になっている鉄瓶


取っ手に、お湯を沸かしたときに熱くなりにくくする穴

 

”虫食い”が施されていたりと、千差万別。

鉄瓶の取っ手には、熱を逃す穴"虫食い"が施されているモノも


前編でもお伝えしたように、鉄瓶の模様には

 

職人のこだわりが滲みます。

 

それを想像しながら、好みのデザインを選ぶのも

 

南部鉄器ならではの楽しみですね。

 

ちなみに、kanakenoでは、現在、さくらふぶきと、みぞれあられの2種類を製造してます。

(左から)みぞれあられ、さくらふぶき

 

こんな素敵な鉄器を作っている

 

田山校長の次の目標は

 

「"もののけ姫のたたら場”のような場所を作ること」

 

それを再現しているのがこの鉄瓶なのです。

たたら製鉄を使った鉄瓶

 

これは"たたら製鉄"という純度の高い鉄を使った、

 

漆を塗らなくてもサビつかないピカピカの鉄器。

 

この鉄を使うことで、よく知られた”南部鉄器"とは一風変わった表現を可能にします。

 

ただ、この鉄は非常に貴重で、普通の鉄と同じように使うことができません。

 

そこで、鉄づくりから携わりたい!というのが、

 

田山校長の”たたら場”の表現に込められた思いなのです。

 

てつびんの学校首都圏版は、

 

南部鉄器の作り方から扱い方、選び方まで、

 

いろんな情報が凝縮した2時間でした。

 

矢巾町出身で、現在都内在住の参加者は

「南部鉄器が出来るまでの工程や制作にあたっての難しいポイント、裏話など、実際の職人さんから聞くことでイメージがわき、とても面白く学ぶことができました。お手入れも思ったほど難しくなく、南部鉄器がたくさんの方の日常に溶け込む存在になれば良いなと思いました。ぜひこのような活動(学校)をもっと開催して、より多くの人に伝えていただきたいです」

と感想を伝えてくれました。

 

盛岡で開催中のてつびんの学校は、3月の修了式で一旦クローズしますが、

第二期の開催も検討中。

 

首都圏版についても、校長が「また、やりたい!」と口にしていました。

その時は、ぜひ、首都圏に住む岩手人、盛岡人、鉄器に興味のある皆さま。

 

岩手が誇る伝統工芸品を学びにいきましょう。

 

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